消防署には意見発表会があります。
いわゆる消防署独自のスピーチ大会なのですが、私も出場したことがあります。
昔のiPadを見ていたら出てきましたので、恥ずかしながら内容をシェアします。
見直すと胸が痛くなる部分もありますが、何かの参考になればと思います。
世代を超えて
「まったく今の若いものは!」
消防職員に拝命して6年!わたしはよくこう叱られてきました。
この「今の若いものは」という言葉、調べてみると古代メソポタミアの時代より言われてきたらしい。
どうやらいつの時代でも年代間の間にはお互い理解しあえない何かがあるようです。
正直言うと、わたし自身、叱られるたび「何をガミガミ怒ってるんだろう?」と思ったこともありました。
しかし年数を重ね、後輩も増え、自分が指導していく立場になってくるとなぜあれだけ一生懸命しかってくれたのか
やっとわかるようになってきました。
それは消防が命をかけた仕事だからです。
そして真剣に叱ってくれた先輩ほど本当は優しい人なんだと気づくことができました。
まさに怒られているうちが華。
今、思えば少しでも先輩の立場で物事を考えてみたらもっと今にいきたのでは?と感じています。
ところで世代間でお互いに理解しようとせず、仕事をするとどうなるでしょうか?
火災、救助、救急など1分1秒を争う現場活動を行う私たち消防は組織集団の力を負うところがたいへん大きいと言えるでしょう。
消防は隊員が一丸でないとチームとして活力が出てこないばかりか組織としての発展はありません。
それでは先人達はどのように消防活動を行ってきたのでしょうか。
江戸時代、「火事と喧嘩は江戸の華」といわれ、消防の原型となった町火消しに始まり、戦時中は乏しい資機材や食糧難、さらに大空襲の戦火の中、消火や救助活動に力を尽くし殉職された方も少なくなかったのでしょう。
昭和の高度経済成長期、勤務体系は7当務、8当務は当たり前、救急隊は感染防止をせず、救助隊は素手でロープを登っていたそうです。
私たちの職場の先輩、退職したOB、すでにこの世を去った先輩たちは、それぞれの時代において、市民の生命と財産を守るため災害と闘ってきました。
このような勤務は今の私たちには想像もつきません。しかしそこにな先輩、後輩、世代を超えた目に見えない太い絆があるのではないでしょうか?
現在、私たちの組織、衣浦東部広域連合消防局は平成15年4月1日に発足、間もなく結成10年の節目を迎えます。
団塊の世代の大量退職、多くの先輩たちが消防を去って行く中でまだ若い組織をどう作っていくのか。
それは先輩たちが努力して作り上げてきたことに深く共感し、教わってきたことを後輩へ引き継いでいく。
人一倍叱られ、先輩の強い想いを理解できた自分だからこそ後輩に伝えられることがあると思います。
世代と世代が互いに強い絆で結ばれることによって、消防組織を発展させることができる。
そうやって市民、社会から信頼され、なくてはならない必要な存在となっていくのでしょう。
私にできること。
それは世代と世代の架け橋となり、新しい消防組織の発展に全力を尽くすことです。
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